かみたかトラトラ日記

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<<   作成日時 : 2006/04/18 02:29   >>

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待ち合わせの場所に僕は走った。
遅刻常習犯の僕にとってそれはとても珍しいことであった。
早く会いたい
そんな単純な動機がそうさせたのだろうか。

今日は久しぶりに彼女に会う。
断っておくが別に付き合っているわけではない。
彼女には別に恋人がいるし、僕もその関係を壊すつもりはまったくない。
ただ、不思議と気があって、一緒にいると居心地が良くて、幾度となく飲みに行く仲だ。
多分本能的に僕は彼女を好きなんだな。これは恋愛感情とは違うかもしれないけど。

珍しく彼女からのお誘いだった。
いつもは僕から誘うのに。そんなこともあっていい。

待ち合わせ場所に現れた彼女はいつもと雰囲気が違っていた。
僕はその違和感の理由がわからず、「髪型変えた?」ととりあえず聞いてみたんだ。
その違和感のままでいることが不思議と怖かったような気がしたから。

今日の店も彼女が選んだ。
相変らずセンスがいい。いつも店は彼女に任せるのが当たり前になっていた。
オトコとしては失格かな。

いつになく今日は彼女は話した。いや、いつもよくしゃべるのだが、今日は特にそう感じた。
疲れているのかな?話自体は前向きで熱い話なのだけどどこか、そう話の奥にはそう推測させるだけの何かがあった。

彼女は僕より若いのだけれども僕なんかよりもずっと深い人生を歩んできている。もっと楽に生きればいいのに、そういつも言いかけるのだが、それを言う資格も権利も僕にはないことは誰よりも僕が一番知っている。

「隣の駅まで歩こう」
眠くなった彼女は大きな眼をこすりながらそう言った。
週の始めのこの日の夜は静かであり穏やかであった。
すれ違う人もなく2人で並んで歩いているその時間がとてもかけがえのない時間のように思ったんだ。

駅で電車を待つ間、2人はベンチに腰を下ろした。
「夜はまだ寒いね・・・」
昨日見た映画ではオトコが彼女の手を自分のジャケットのポケットに入れて暖めてあげるのだが、そんなシャレた事は僕には出来ない。それよりも電車が近づく音が恨めしいだけだった。

最寄の駅で2人は降りた。いつもはここでお互いの家の方向へ別れる。
でも今日は何故か僕の帰る道の方についてくる。
「コンビニに行く」
途中のコンビニに当然のように2人で入ったんだ。
早々と牛乳を手に取る僕に対して、「カワイイ」とだけ呟いた彼女はゆっくりと望む商品を探しに歩き出した。

牛乳パックをひとつ抱えて彼女のあとを静かに追いかける僕は、傍からみたら奇妙かもしれないが、でもそれはそれで幸せだった。

やがて彼女は目的のものを手に入れて会計を済ませる。
もともと僕は別れが嫌いだ。ふたりからひとりに戻ってしまうその瞬間の寂しさに対する耐性が年々弱まってきている気がする。

別れた後、彼女の後姿を一度だけ振り返った時に僕は気がついた。
出会ってから初めてのスカート姿。それが違和感の原因だったんだ。


※このお話はフィクションですからね!



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コメント(12件)

内 容 ニックネーム/日時
 フィクションかよ!
 フィクションて、架空の話ですよね。
 妄想???

 そういえば最近、暖かくなってきました。
桃色行政書士やなぎ
URL
2006/04/18 13:16
吸い込まれるように読み込んでしまいました。
かみたかさんがどんな方なのか分かりませんが、竹野内豊とダブって見えましたよ。ホントにフィクションですか??
それにしても細かい描写力、凄いですね。
ぜひ、題名を変えて続編をお願いします。
マシャ
URL
2006/04/18 17:17
ほんまにフィクションですかぁ?(←疑惑の眼差し)
日常的な風景なのに、それだけではない深いものを感じます。
ちゃんと起承転結でオチまでついているし。
これがフィクションだったら、かみたかさん、
なかなかのストーリーテラーだとお見受けいたしました♪
コマちん
URL
2006/04/18 20:22
やなぎさん

妄想ではな〜い!!

ま、ヤボなことは聞きっこなしですよ。
御家族、早く元気になるといいですね。
かみたか
URL
2006/04/18 22:24
マシャさん

楽しんでいただけたとのことで私もとても嬉しいです♪

竹野内豊!?
最大級の褒め言葉♪(→またA子ちゃんには鼻で笑われそうだが…)

>ホントにフィクションですか??
ま、ヤボなことは…。
夢かうつつか…。その狭間にいる間がもっとも心地良いのです。

かみたか
URL
2006/04/18 22:36
コマちんさん

こんにちは。

>ほんまにフィクションですかぁ?(←疑惑の眼差し)
ま、ヤボなことは…(←しつこい?)

物語は日常の延長線上にあり、そして幸せとは何気ない普段の当たり前のコトなんですね。

春ですね〜。恋したいですね〜!!


かみたか
URL
2006/04/18 22:52
福山君が言っていました。
「1流の人は1つの恋で100の歌が作れる」と。
かみたかさんはどうでしょう???
いい恋をしてください!
マシャ
URL
2006/04/19 00:03
マシャさん

さすがちぃー兄ちゃん。カッコイイなあ…。

御声援ありがとうございます。
私は詩人ではないので100も歌を作ることは出来ないでしょう。
でもひとつでもいいから素敵な歌を作れるような恋をしてみたいですね。

マシャさんのように素敵な恋をして素敵な家庭を持って…。
そのためには私がもうちょっとしっかりしないとダメですね。
かみたか
URL
2006/04/19 01:03
4月19日、私のブログから、かみたかさんへ、バトンのプレゼント!!
内容を確認して、もしよかったら、チャレンジしてください。
桃色行政書士やなぎ
URL
2006/04/19 20:50
やなぎさん

りょうか〜い。
今日は時間が無いので後でやってみましょう。
かみたか
URL
2006/04/20 02:19
・・・フンッ(笑)
ご希望通り鼻で笑ってみました
(−ー−)ニヤリ

かみたかさんが小説を書くなんて意外でしたが
楽しく読ませて頂きましたっ

彼女の手を自分のジャケットのポケットに入れて暖めてあげる・・・
↑「いま、会いに行きます」だね〜
このシーンは私も大好きですぅ

次回のノンフィクション小説も期待してますわ♪
A子
2006/04/20 09:41
A子さん

待ってましたよ!
リクエストにお応えいただきありがとうございました♪

>「いま、会いに行きます」だね〜
イエ〜ス。感動したっす。
あのシーンいいよね。私も今度やってみよう。
でも暖かくなっちゃったから冬まで待たないと…。なげえなあ。
かみたか
URL
2006/04/21 01:19

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