かみたかトラトラ日記

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zoom RSS この星の一等賞

<<   作成日時 : 2006/08/05 03:54   >>

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俺が最後に放った一撃は見事にコーナーを打ち抜いた。
勝利。
俺のもっとも輝いた夏は終わった・・・。

大きく息を吐き天を仰ぐ俺はヤツが近づいてきたことすら気がついていなかった。
「あっ」
ヤツを認識すると同時に差し出された右手。状況を理解するにはしばらく時間がかかったことを覚えている。無言で堅く握手を交わす2人。青春ドラマみたいで気恥ずかしかったが、なんだかとても嬉しかった。試合の内容なんて覚えていない。ただ最後の握手だけは鮮明に記憶に残っている・・・。


あれから数10年・・・。

食堂で久しぶりにかつての上司でもある部長と目が合った。
何を言いたいかはわかっている。部長もそれを悟ったかのようにただひとことだけ声を発した。
「またやろう」
そのひとことによって俺の頭の中の時計は音を立てて逆回転を始めていた。




きっかけは何とは無しに発せられた何気ない一言。
「卓球をしよう」
かくして部署の卓球経験者が数名集い、卓球大会が催されることになった。

俺は中学でラケットを置いたのだが何故だか自信はあった。そしてその自信を立証するかのように戦いに勝利し続けた。そんな俺に最後に立ちはだかったのが部長である。
大学まできっちりとラケットを振り続けた部長に俺は負け続けた。
俺の戦術はラリーで繋いで相手のミスを待つというもの。自分から攻めることは少ない。
しかしカットやドライブといったあらゆる技術で俺を上回る部長に対してはミスを誘うことができない。やればやるほど力の差は歴然と開いていったのである。

そして数回目の対戦。
俺はある決意を秘めていた。

「攻める」

結果1点も取れないかもしれない。しかしこのまま守り続けていては勝てないことはわかっていた。来た球を強打する。俺はそのことだけに集中した。

部長が返した球が少し浮いた。俺が思いっ切り振りぬいた打球は心地良い音を立てて相手コートに突き刺さる。部長の口元が少し緩んだ。「変えてきたな」

1セットは俺が取った。


さすがに相手も俺のパターンを読めてきたのだろうか。最後まで競ってはいたのだが最終的に
2セット、3セットを奪われ俺の敗北が決定した。だが後悔はない。勝つ、そのために俺は考え抜いて自分のスタイルを変えた。それしか勝つ道はないとの結論に達したからだ。

脱力し、膝を付く俺に歩み寄る部長。そして差し出される右手。
数年の時を経て繰り返される光景。既視感というやつだろうか・・・。


「この星の一等賞になりたいの、卓球でおれは」(byペコ@映画「ピンポン」)

俺はこの星どころか部署の中でも一等賞になれなかった。
でもこの星で一番清清しい思いをしたような気がした。少なくともそのときはそう思った。


2006年夏。再戦近し。



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